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図書出版 群青社

環境 『バイオリージョナリズムの挑戦』

環境

持続可能・消費削減・地域循環システム・森林管理・木炭と紙・食物のローカル循環・綿花生産・フェアトレード・輸送二酸化炭素・FEET指標

『バイオリージョナリズムの挑戦』

プーラン デサイ/スー リドルストーン  (翻訳) 塚田 幸三、宮田 春夫
定価2,200円(本体2,000円+税)  四六判上製220頁

「科学・技術の発達に夢中になって、現代人は資源を使い捨て、自然を壊す生産体制と人間を不虞にするような社会を作りあげてしまった。富さえ増えれば、すべてがうまくいくと考えられた。カネは万能とされた。正義や調和や美や健康まで含めて、非物質的な価値は、カネで買えなくても、カネさえあればなしですませられるか、その償いはつくというわけである。……これが唯物主義の哲学であって、この哲学―ないしは形而上学―が、今日まさに現実からの反撃を受けているのである。……テロ行為、民族の抹殺、社会秩序の分解、公害、資源の枯渇といった現象が、このことを教えてくれるのである」――『スモール・イズ・ビューティフル』中のE.F.シューマッハーの言葉である。本書は、シューマッハーの遺志を継いで設立されたシューマッハー協会のシューマッハー叢書第8巻を訳出したものである。シューマッハーはケインズ経済学とマルクス経済学の限界を超える経済システムのありようを模索した。「地域」「環境」「循環」などをキーワードとする世界経済の新たなシステム構築の提起は、英国を中心としたいくつかの国々で実践に移され、いま、世界から注目されつつある。

目次
チャールズ皇太子の推薦のことば
第1章 地域における連携を強める/市場経済からの出発/〈バイオリージョナル〉グループ/ベドゼッド(BedZED)エコビレッジ―より持続可能な生活の実証
第2章 地球の資産
持続可能性の数値化―エコロジカル・フットプリントの重要性/エコロジカル・フットプリントが示す地球の危機/消費水準の大幅削減の必要性/北海の水産資源問題/行動の指標を示すエコロジカル・フットプリント
第3章 持続可能な紙の地域循環事業
紙と環境問題/〈バイロリージョナル〉グループの取り組み/木材以外の非再生繊維原料の可能性/持続可能な紙の地域循環システムの構築/課題/紙の地域循環の重要性/さまざまな可能性
第4章 紙パルプの小規模生産―技術のスケールと地元資源の活用
ミニミル技術の開発/中国で進むミニミル建設/適正技術と正しい姿勢
第5章 木炭と蝶と国際貿易
森林管理と野生動物/木炭生産者ネットワークの構築/木炭の国内生産とエコロジカル・フットプリント/木炭の国内生産と途上国問題/輸送二酸化炭素とFEET指標/国際貿易の弊害
第6章 食料の地元生産とリスクの低減
食料のネットワーク生産/食物のローカル循環とリスクの低減
第7章 麻、衣服、そしてフェアトレード
綿花生産をめぐる問題/フェアトレードの重要性/綿に代わる繊維作物の可能性
第8章 バイオリージョナリズム的開発の利点
歪んだシステム/バイオリージョナリズム的開発とリスクの低減/ラベンダー産業再生プロジェクト/都市林業プロジェクト
第9章 バイオリージョナリズムの経済学―比較優位とバイオリージョナリズム的優位
バイオリージョナリズム的開発と政府の役割/比較優位の考え方とその問題点
第10章 ベドゼッド・エコビレッジ―唯一の地球に住み続けるために
都市の代謝/ベドゼッド(BedZED)―総合的解決策/グリーンライフスタイルの構築/エコロジカル・フットプリントのモニタリング
第11章 持続可能な未来をめざして
南アフリカでの取り組み/英国での取り組みの展望/求められるグローバルガバナンスの向上
第12章 バイオリージョナリズム的生活を始めるにあたって
シューマッハー協会について
著者紹介

著者はともに〈バイオリージョナル・〉ディベロップメント・グループの共同設立者であり、ダイレクターを務める。

プーラン・デサイはオックスフォード大学で生理学を学んだのち、〈bアイオリージョナル〉木炭会社を設立。また南ロンドンのラベンダー産業の再興にも携わり、ベドゼッド(BedZED)エコビレッジ計画の共同創始者。英国政府の消費財諮問委員会の過程と環境グループの議長も務めた。

スー・リドルストーンは3児の母親で、元看護師、小規模パルプ工場計画のリーダーを務め、〈バイオリージョナル〉ミニミル社のダイレクター。また、ロンドン・ローカルペーパー事業と英国における麻織物生産に関する調査を指揮。ロンドン持続可能な開発委員会の委員も務めた。