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図書出版 群青社

教育 『教師の子ども理解と臨床教育学』

教育

いじめ・不登校・管理主義・PISA・臨床教育学・子ども理解のカンファレンス・大学入試センター試験・学力低下・AO入試・教科書検定・「慰安婦」問題・家永教科書裁判・歴史修正主義

『教師の子ども理解と臨床教育学』
             

田中孝彦・筒井潤子・森博俊
定価2,200円(本体2,000円+税)  A5判並製214頁

青少年が向き合っている現実は見えているのか
「いじめ」「不登校」「社会的ひきこもり」「学級崩壊」「親殺し」――青少年をめぐって巷やマスコミでかわされるこれらの言葉以上に、彼らの人間としての育ちの「危機」は確かに広がり深まっている。にもかかわらず、「厳しさ」「管理」「競争」の横行する教育現場。実践者や大人たちに、今日の青少年が向きあっている「現実」は見えているのだろうか。彼らが今日の社会を、大人を、どのように見て、何を感じ、そして何に悲しみ、怒り、絶望しているのか、見えているのか。本書は著者たちの勤務する都留文科大学で行われた「現職教員教育講座」の内容をもとにまとめたものである。

目次
「子ども理解」の今日的課題と臨床教育学(田中孝彦)
1 子どもたちの声に耳を傾けることから
2 人間発達の原点に立ち戻って
3 子どもを支えるおとなの新しい共同へ
4 「子ども理解のカンファレンス」を軸に
5 「負」の感情を見据える教育実践を考える
6 言葉の教育の質的改革の方向を探る
7 都留の地域に臨床教育学のユニークなセンターを
カウンセラーから見える子ども・学校(筒井潤子)
1 カウンセラーから見える子ども・学校
2 気づき・表現し・受けとめられる
3 「声を聞く」ということ
4 「緩めること・感じること」PART1
5 感じること考えること
6 「緩めること・感じること」PART2
7 感じる練習
8 気づき表現する取り組み
9 子ども理解のセンスは培われるか
小・中学校における特別支援教育の課題――軽度発達障害児の理解と教育実践(森 博俊)
I 特別支援教育と通常学級の教育実践
  • 「特別支援教育への転換」とは
  • 通常学級からみた特別支援教育の問題
  • 通常の学級で困難をかかえる子どもたち――LD・AD/HD・高機能自閉症等の定義について
  • 通常学級での実践を深めるために
II 軽度発達障害による困難をもつ子どもをどう理解するか――診断・アセスメントと臨床的な子ども理解
  • 障害児学級で出会った子どもたち
  • 行動と内面の緊張的局面への注目
  • 子どもの「診断」「アセスメント」と「理解」
  • 臨床的な子ども理解と教師の役割
著者紹介

田中孝彦(たなか たかひこ)

1945年、北京(中国)に生まれる。1968年、東京大学法学部卒業。1975年、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。東京大学。東京経済大学、北海道大学、都留文科大学を経て、現在、教育思想家。主な著書に『子どもの発達と人間像』(青木書店、1983年)、『子どもらしさのこれまでこれから』(新日本出版社、1990年)、『人が育つということ』(岩波書店)、『子どもの人間形成と教師』(新日本出版社)、『保育の思想』(ひとなる書房)、『生き方を問う子どもたち』(岩波書店)、『臨床教育学序説』(編著。柏書房)、『希望をつむぐ学力』(編著、明石書店)などがある。

筒井潤子(つつい じゅんこ)

1959年、広島に生まれる。1984年、大阪市立大学生活科学研究科(臨床心理学専攻)前期博士課程修了。臨床心理士。京都市児童福祉センター(情緒障害児短期治療施設)青葉寮セラピストをはじめに、教育相談室、スクールカウンセラーなどを経て、2005年より都留文科大学。主な著書に『子どもの心を育てる生活 チームによる治療の実際』(共著。星和書店)、『カウンセリングトレーニング 心の視点』(共著、青木書店)などがある。

森 博俊(もり ひろとし)

1948年、東京生まれ。都留文科大学名誉教授。障害児教育・臨床教育学専攻。知的障碍教育論・臨床教育学研究者。主な著書に『「特殊教育」論の新転回と対抗的実践の課題』(編、群青社、2000年)、『「特別ニーズ教育」「特別支援教育」と障害児教育』(共編、群青社、2002年)、『教師の子ども理解と臨床教育学』(共著、群青社、2006年)、『シリーズ子ども理解と特別支援教育』①~⑤(編著、群青社、2019年~2020年)などがある。