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教育 『教科書と「慰安婦」問題』

教育

いじめ・不登校・管理主義・PISA・臨床教育学・子ども理解のカンファレンス・大学入試センター試験・学力低下・AO入試・教科書検定・「慰安婦」問題・家永教科書裁判・歴史修正主義

『教科書と「慰安婦」問題』
             子どもたちに歴史の事実を伝え続ける

平井美津子
定価2,200円(本体2,000円+税)  A5判並製228頁

自国の歴史を偽り続ける国の教科書は不都合な事実を隠す!
時に日韓に横たわる「問題」であるかのように喧伝される「慰安婦」問題。そこには当事者への眼差しは抜け落ちていた。著者が教える子どもたちと同じぐらいの女性たちが性奴隷として親元から無理やり離され見知らぬ土地へ収容されたという過酷な歴史の事実。「慰安婦」問題の授業を通して子どもたちに歴史やものごとの事実を自らの頭で科学的・論理的に理解してほしいと著者は願う。本書は時の政権や歴史修正主義によって「慰安婦」問題の教科書記述がどのように変遷してきたのかを示し、全国で展開される「慰安婦」問題の授業を紹介するとともに、自治体当局によって著者に加えられた不当な「弾圧」もあえて記述することで歴史に対する自覚と責任を促す。

目次
序章 問題の所在
第一章 戦後教科書の登場と教科書をめぐる問題
  • 戦後教育の始まり
  • 『くにのあゆみ』の登場
  • 社会科の登場と歴史の復活
  • うれうべき教科書の問題
  • 家永教科書裁判と杉本判決
  • 新たなる教科書攻撃と家永第三次裁判
第二章 一九九〇年代における第三次教科書攻撃と現在
  • 教科書に登場した「慰安婦」記述
  • 政治問題化する「慰安婦」問題
  • 「新しい歴史教科書をつくる会」の誕生とその歴史観
  • 「慰安婦」記述への攻撃と消滅
  • 検定制度と採択制度の変遷
  • 「慰安婦」記述の復活
  • 育鵬社の教科書は
  • 二〇二〇年度教科書採択の結果
  • 今後の課題
第三章 教科書と授業
  • 教科書に「慰安婦」記述がなくなったことで学校現場にもたらされた影響
  • 教科書に記述されるということ
第四章 教科書は植民地支配をどう描いてきたのか
  • 国定教科書『くにのあゆみ』と『日本の歴史』
  • 幻の教科書『日本の歴史』
  • 一九五〇年代の記述
  • 朝鮮史研究が反映された記述
  • 家永裁判杉本判決の影響
  • 一九八二年検定基準見直し以降の記述
  • 一九九七年「慰安婦」記述の登場
  • 加害記述への批判と記述の変化
  • 戦後の日韓関係についての記述
  • 二〇二一年度から使われている教科書
  • 教科書記述に求めること
第五章 「慰安婦」授業で何を学ぶか
  • これまでの「慰安婦」授業実践(小学校・高校・大学)
  • これまでの「慰安婦」授業実践(中学校)
  • 時代とのかかわりの中で変化する「慰安婦」実践
  • 筆者のこれまでの実践
  • 植民地支配から見る「慰安婦」授業
  • 「慰安婦」問題を学ぶ意味
終章
著者紹介

平井美津子(ひらい みつこ)

1960年大阪府大阪市生まれ。立命館大学文学部史学科日本学卒業、奈良教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。大阪府吹田市立中学校社会科教員,大阪大学・立命館大学非常勤講師。主な著書に『「慰安婦」問題を子どもにどう教えるか』(高文研)、『原爆孤児 「しあわせのうた」が聞こえる』(新日本出版社)、『サンフランシスコの少女像――尊厳ある未来を見つめて』『教育勅語と道徳教育――なぜ今なのか』(以上,日本機関紙出版センター)、『戦争孤児たちの戦後史1』『戦争孤児たちの戦後史2』(共編、 以上,吉川弘文館),など多数。