社会
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『西本あつし』
「平和行進」をはじめた男
本庄 豊
A5判並製213ページ 定価1,980円(本体1,800円+税10%)
1958 年6 月20 日、男はたったひとり、
被爆地広島から東京へ向けて歩きはじめた。
本書は男の生い立ちから行進に至るあゆみの記録である。
泥にまみれた手をふって送って下さったお百姓さん、目になみだをいっぱいためてお茶
を汲んで下さったお母さんたち、旗をちぎれるほどふってくれた子供たち、道端で合掌して送ってくれたおじいさん、おばあさん。
みんなのじっと見つめる眼の中に光るものを、わすれることはできません。
(本文「平和行進日記二」より)
目次
序章 | “とんつくさん”が来た |
第1章 | 敗戦からの出発 生い立ち 恩師・大野長一 鏡川学園 戦災孤児と 「平和新聞」と文学青年 |
第2章 | 日本山妙法寺 広上塔貫 藤井日達とマハトマ・ガンディー 出家 第五福竜丸被曝と相次ぐ水爆実験 非同盟運動 |
第3章 | 内灘闘争と妙義闘争 初めての修行の場 小説『内灘夫人』と映画『非行少女』 逆流に抗する 風がわりな坊さんがやってきた 村人の生活の中へーー恩賀生活学校 |
第4章 | 砂川闘争 レッドパージと全日自労飯田橋分会 砂川米軍基地拡張反対闘争 第一回原水爆禁止世界大会 流血の砂川で歌われた「赤とんぼ」 亀井文夫とデニス・J・バンクス |
第5章 | 「平和行進日記一、二」 「機関決定」できなかった平和行進 「ヒロシマの記録 一九五八年六月」 「平和行進日記」一広島~東京 「平和行進日記」二与論島~広島 |
第6章 | 病気療養から結婚生活へ 群馬へ 療養と入党 恋人への手紙 結婚 西本あつし逝く 空吹く風は…… |
補章 | 一九五〇年代と「五〇年問題」 「五〇年問題」真っ只中に入党した西本 谷口善太郎と大山郁夫 余波 |
著者紹介
本庄 豊(ほんじょう ゆたか)
群馬県安中市出身。東京都立大学経済学部卒郷。公立中学校(社会科)勤務を経て、立命館中学校・高等学校教員、立命館大学兼任講師。山本宣治を中心とした近代日本社会運動史・移民史などが専門。主な著書に『戦争孤児』(新日本出版社)、『魯迅の愛した内山書店』(かもがわ出版)、『優性思想との決別』(群青社)、『パウリスタの風』(群青社)などがある。