図書出版の「群青社」には人の心の奥深くを探求する、たくさんの素晴らしい本がございます。

図書出版 群青社

保育 『波うさぎ』

保育

障害の受容・巡回相談・大津方式・困難を抱える子・子育て支援・きょうだい・保護者支援

『波うさぎ』   土佐清水の海と子どもたち

竹原登美
定価2,640円(本体2,400円+税)  B5変形上製カラー

色とりどりの魚たち、冲ゆく船、子どもたちはいのちを描いた。
高知県の西端に位置する土佐清水市は漁業の町だ。本書の主人公は、その土佐清水のさらに最西端、窪津という小さな漁港を中心に太平洋に面して広がる集落の子どもたち。
ゲームセンターもなければコンビニもない、そんな、田舎を絵に描いたような地域だから、他所者は単純に、「子どもたちは自然のなかでのびのび育っているんでしょ」などと考える。
しかし、ここも「日本」なのだ。お日様がほかほか顔をのぞかせ、ひばりがピーヒャララと鳴く夏真っ盛り、透き通るような海に熱帯魚が泳ぎ回っても、海辺には子どもの姿など影も形もない。じゃあ、神社の境内の木陰はとのぞくと、いたのは昼寝していた猫だけ。そう、みんなおうちでテレビゲームに夢中。
そんな子どもたちの姿に、「この国の未来はどうなるじゃ!」と、やおら登美先生は、いやがる子どもたちを引き連れて海へ。
パンツ一枚にされた子どもたち。「海の子が泳げんでどうする!」と、まずは水に慣らそうと、少しずつ海に入っていくと、プールしか知らない子どもたちのなかには泣き叫ぶ子も。
そんなひ弱な子どもたちは、登美先生のあとを追って山へ海へと徘徊するうちに、いつしか立派な「土地の子」に成長していった。

著者紹介

竹原登美(たけはら とみ)

1943年高知県土佐清水市生まれ。1971年、土佐清水市立保育園入職、保育士を経て園長を務め、2004年退職。