図書出版の「群青社」には人の心の奥深くを探求する、たくさんの素晴らしい本がございます。

図書出版 群青社

特別支援教育 『先生は、お花に水をあげるような勉強をしてくれた』

特別支援教育

教育基本法・子どもの権利条約・七生養護学校事件・性教育攻撃・子ども理解・自己の育ち・自己理解・支援・特殊教育・特別ニーズ教育・新自由主義教育改革・個に応じた教育・自立への教育・個別指導計画・生活主義教育・原教科教育・職業教育・病弱教育・訪問教育・寄宿舎教育・青年学級・自閉症・パニック・パターン・遊び

『先生は、お花に水をあげるような勉強をしてくれた』
                知的障害学級の子どものねがいと教育実践

大高一夫
定価2,200円(本体2,000円+税)  A5判上製282頁

子ども抱える困難や悲しみに向き合っているか 教師をめざす者必携!
「ぼくたちがわからないことがあっても、授業中に騒いだり、笑ったりして勉強しないことがあっても、先生はあきらめずにゆっくりと何回も勉強を教えてくれた…先生と一緒に勉強して、ぼくはつぼみがぱっと開いたようにわかった…友だちの伸行くんは、はなびらがいちまいいちまい、開くようにわかっていった」――これは、著者たちが教える知的障害学級のある子どもの言葉である。競争を煽るつめこみ教育に疲れはてた子どもたちは、ときに荒れ、ときに大人や社会への不信感を増幅させてゆく。管理・統制の強化で夜遅くまで職員室で膨大な雑務に追われた教師たちは授業の準備もままならない。著者たちもまた、こうした現実に向きあい、知的障害をもつ子どもたちの悲しみや困難に向きあっていった。本書が従来の実践書と大きく異なるのは、子どもたちの抱える困難そのものを授業に組織していくことを教育目標とし、子どもたちの内面に迫り一人ひとりの確かな自己を育んでいった点である。

目次
序章 「特別支援教育」時代に固定制障害児学級の実践を考える
第1章 仲間と語り、学びあって育つ――子どもの現実と向きあいながら
第2章 総合学習 みんなとともに「自分」をみつめる――ぼくがおおきくなったということは
[実践を深める]成長をふり返り語ることと自己の育ち
  • 自分たちの過去をふり返るために
  • 現在の自分へのまなざし
  • 感情の記憶とその言語化
第3章 子どもとつくる教科の学習
  • 思いを伝えあい、新しい世界に出会う――「かわいそうなぞう」の授業と劇を通して
  • イメージを拡げながら数量の世界を学ぶ――「多い・少ない」から「9までの分解」まで
  • 自然への関心を拡げ、生き物の基礎を学ぶ――「だんごむしのふしぎはっけん」

[実践を深める]世界とつながり、イメージ豊かに学ぶ
  • 集団の中で考えること、そこで生まれる自分の思い
  • 「教科」学習におけるイメージの力と物語性
  • 「合科・統合」による学習指導をどう考えるのか)
第4章 障害児学級と通常学級の合同授業――共同の学びを求めて
[実践を深める]通常学級における共同の学習の探求
  • 「合同授業」実践の意義
  • 「合同授業」の学習指導
  • 「合同授業」における子どもたちの学び
  • 共同学習と子どもたちの「居場所」
第5章 教師のねがいと教育実践――教育実践記録をまとめて
著者紹介

大高一夫(おおたか かずお)

1950年、茨城県に生まれる。1971年、茨城大学卒業後、東京都立養護学校、障害児学級担任。主な著書に『「特殊教育論の新転回と対抗的実践の課題』(分担執筆、群青社、2000年)、『「特別ニーズ教育」「特別支援教育」と障害児教育』(分担執筆、群青社、2002年)、『こころをみつめて』(共著、群青社、2011年)、『シリーズ子ども理解と特別支援教育① 障害をもつ子どもを理解することから』(共編、群青社、2018年)などがある。

糟谷京子(かすや きょうこ)

1977年、宮城教育大学卒業。東京都障害児学級担任。

伊藤裕子(いとう ゆうこ)

1980年、千葉大学卒業。東京都通常学級担任。

森 博俊(もり ひろとし)

1948年、東京生まれ。都留文科大学名誉教授。障害児教育・臨床教育学専攻。知的障碍教育論・臨床教育学研究者。主な著書に『「特殊教育」論の新転回と対抗的実践の課題』(編、群青社、2000年)、『「特別ニーズ教育」「特別支援教育」と障害児教育』(共編、群青社、2002年)、『教師の子ども理解と臨床教育学』(共著、群青社、2006年)、『シリーズ子ども理解と特別支援教育』①~⑤(編著、群青社、2018年~2020年)などがある。